コーティング技術で作られる膜のうち、もっとも薄いものが薄膜です。しかし、どのように作られているのかわからない方もいるはずです。今回は、薄膜の概要や用途、作り方を解説します。
薄膜ってなに
基材や基板などの表面にある膜です。一般的には10μm以下の膜が薄膜と認識されていますが、実は明確な定義は設けられていません。薄膜は、表面の性質を変えたり覆う対象物を保護したりする役割があります。ただし、短時間で皮膜が破れてしまうと役割を果たすことはできません。
薄膜の用途
薄膜は、主に液晶ディスプレイやパソコンで使用するメモリやCPUなどに用いられます。ほかにも、レンズの性能向上や製造現場で使われる用具など、さまざまな用途で使われているのも特徴です。薄膜が活躍する分野には、次のようなものがあります。
- エネルギー関連分野
- 電子工業分野
- 工学分野
- プラスチック加工分野
- 機械工業分野
薄膜の耐久性は?
コーティングした対象物を長く保護するために、薄膜には耐摩耗性に優れていることが必要不可欠です。皮膜の耐摩耗性を上げるには、被膜の硬度を高くしたり厚くしたりすることが必要です。硬度を高める方法には、物理蒸着があります。
物理蒸着を用いれば、もっとも硬い皮膜を作ることが可能です。皮膜を厚くする方法には、めっきや溶射によるコーティング技術が必要になります。皮膜が厚くなれば、摩擦するまでの時間を長くできます。
薄膜の作り方
薄膜を作るコーティング技術には、めっきと蒸着があります。めっきは50μm以上の皮膜形成を得意とする手法です。逆に10μm以下の形成には向かないので、注意しなければいけません。めっきはウェットコーティングとも呼ばれており、電気めっきや無電解めっき、溶融めっきなどがあります。
蒸着は、1μmから形成可能です。ドライコーティングとも呼ばれており、物理蒸着や科学蒸着があります。特に、物理蒸着は高い硬度と密着性の皮膜を作れるため、薄膜が求められる場面に適したコーティング技術になります。状況に応じて適切なコーティング技術を選ぶことが必要です。
まとめ
コーティング技術で作られる皮膜のうち、もっとも薄い皮膜なのが薄膜です。薄膜はあらゆる場面で使われているものの、コーティングしたものを保護するには耐摩耗性に優れていることが求められます。さまざまな作り方があるため、状況に応じて適切なコーティング技術を選ぶことが必要です。
参考: